廃棄物処理法でトラブルを回避!マンション・ビル管理者の注意点 

マンションやビルの管理を担当する皆さんは、廃棄物処理法の遵守が求められています。廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制し、適正に処理することにより、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。

しかし、廃棄物処理法は複雑でわかりにくいため、違反してしまうケースも少なくありません。違反した場合は、罰則が科されるだけでなく、マンションやビルのイメージダウンにもつながります。


そこで本記事では、マンション・ビル管理者が知っておくべき廃棄物処理法の基本的なルールと、特に注意すべきポイントを解説します。本記事を参考に、廃棄物処理法の違反を防ぎ、トラブルを回避しましょう。


《目次》

■廃棄物処理法の概要と目的

■廃棄物処理法の基本的なルール

■マンション・ビル管理者が特に注意すべきルール

■廃棄物処理法違反の罰則

■まとめ



■廃棄物処理法の概要と目的


廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制し、適正に処理することにより、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。廃棄物とは、人の活動に伴って生じた、不要になった物または役に立たなくなった物で、廃棄物を適正に処理することは、私たちの生活環境を守るために重要なことです。


廃棄物処理法は、廃棄物を大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに分類しています。一般廃棄物は、家庭ごみや事業系一般廃棄物など、日常生活や事業活動で発生する廃棄物です。産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物で、産業廃棄物処理法によって、さらに13の種類に分類されています。


・廃棄物処理法の概要

廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制し、適正に処理するために、以下のルールを定めています。


廃棄物の排出者には、廃棄物の排出量の削減や適正な処理の実施などの責任を負わせること

廃棄物の処理は、適正な処理基準に従って行うことを義務付けること

廃棄物の処理業者には、適正な処理能力や技術を有することを条件に、許可を与えること

廃棄物処理法は、罰則を定めることで、違反を抑止しています。違反した場合は、個人の場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科せられます。


・マンション・ビル管理者が廃棄物処理法の対象となる場合

マンションやビルの管理を担当する皆さんは、廃棄物処理法の対象となる場合があります。具体的には、以下の場合に、廃棄物処理法の対象となります。


マンションやビルから一般廃棄物や産業廃棄物を排出する場合

マンションやビルにおいて、一般廃棄物や産業廃棄物の処理を委託する場合

マンションやビルから一般廃棄物や産業廃棄物を排出する場合は、廃棄物処理法に基づく排出事業者としての責任を負います。また、マンションやビルにおいて、一般廃棄物や産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託先の処理業者が適正に処理を行うよう監督する責任を負います。


■廃棄物処理法の基本的なルール


・廃棄物の定義

廃棄物処理法は、廃棄物を「人の活動に伴って生じた、不要になった物または役に立たなくなった物」と定義しています。廃棄物は、私たちの生活環境を汚染したり、公害を引き起こしたりする原因となるため、適正に処理することが重要です。


廃棄物は、大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに分類されます。


一般廃棄物

一般廃棄物とは、家庭ごみや事業系一般廃棄物など、日常生活や事業活動で発生する廃棄物です。一般廃棄物は、地方自治体が処理の責任を負っています。


産業廃棄物

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物で、産業廃棄物処理法によって、さらに13の種類に分類されています。産業廃棄物は、産業廃棄物処理業者が処理の責任を負っています。


・排出者の責任

廃棄物処理法は、廃棄物の排出者には、廃棄物の排出量の削減や適正な処理の実施などの責任を負わせています。

具体的には、「廃棄物の排出量の削減」「廃棄物の分別・収集」「廃棄物の処理の委託」

「処理業者の許可」の4つがあります。それぞれの以下の通りです。


廃棄物の排出量の削減

廃棄物の排出量を削減することは、廃棄物の発生を抑制するために重要です。そのため、廃棄物の排出者は、廃棄物の発生を抑制するための取り組みを行わなければなりません。


廃棄物の分別・収集

廃棄物を適正に処理するためには、廃棄物を分別して収集することが重要です。そのため、廃棄物の排出者は、廃棄物を分別して収集するための体制を整えなければなりません。


廃棄物の処理の委託

廃棄物の処理は、地方自治体や産業廃棄物処理業者に委託することができます。ただし、委託先の処理業者が適正に処理を行うよう、排出者は監督する責任を負います。


・処理業者の許可

廃棄物処理法は、廃棄物の処理業者には、適正な処理能力や技術を有することを条件に、許可を与えています。許可を受けていない処理業者は、廃棄物の処理を行うことができません。


■マンション・ビル管理者が特に注意すべきルール



マンション・ビル管理者は、廃棄物処理法の遵守が求められています。特に注意すべきルールは、一般廃棄物の分別、産業廃棄物の処理、マニフェストの交付・保管の3つです。これらのルールを遵守することで、廃棄物処理法の違反を防ぎ、トラブルを回避することができます。




・一般廃棄物の分別

マンションやビルから排出される一般廃棄物は、家庭ごみや事業系一般廃棄物など、さまざまな種類があります。これらの廃棄物を適正に処理するためには、分別が重要です。

マンションやビルでは、一般廃棄物の分別を徹底するために、以下の点に注意が必要です。


分別ルールを明確にする

マンションやビル全体で、どのような廃棄物をどのように分別するのかを明確にします。具体的な分別方法や、分別のタイミングなどを決めておきましょう。


分別をわかりやすくする

分別ルールをわかりやすくするために、分別ルールを記載した掲示やポスターを設置します。また、分別の際に使用する容器や袋なども、分別ルールに沿ったものを用意しましょう。


分別の徹底を図る

分別ルールを徹底するために、入居者への周知や、分別の監視などの取り組みを行います。


・産業廃棄物の処理

マンションやビルで発生する産業廃棄物は、家電リサイクル法や建設リサイクル法など、他の法律によって規制されている場合があります。これらの法律を遵守した上で、適正に処理する必要があります。


マンションやビルでは、産業廃棄物の処理を委託する場合、以下の点に注意が必要です。


許可業者に委託する

産業廃棄物の処理は、許可を受けている処理業者に委託する必要があります。許可業者かどうかは、環境省のホームページで確認することができます。


・マニフェストを交付・保管する

産業廃棄物の処理を委託する場合、処理業者からマニフェストを交付してもらいます。マニフェストは、産業廃棄物の適正な処理を証明する書類です。処理終了後、処理業者からマニフェストの写しを受け取ったら、必ず保管しておきましょう。


マニフェストの交付・保管

マニフェストは、産業廃棄物の処理を委託する際に、処理業者から交付される書類です。マニフェストには、廃棄物の種類や量、処理業者などの情報が記載されています。


マンションやビルでは、マニフェストを交付・保管する際に、以下の点に注意が必要です。


マニフェストを紛失しないよう、保管場所を決めておく

マニフェストは、産業廃棄物の適正な処理を証明する書類です。紛失すると、産業廃棄物の不適正な処理が疑われる可能性があります。そのため、マニフェストを紛失しないよう、保管場所を決めておくことが大切です。


マニフェストの記載内容に誤りがないか確認する

マニフェストの記載内容に誤りがあると、産業廃棄物の適正な処理が困難になる場合があります。そのため、マニフェストの記載内容に誤りがないか確認するようにしましょう。



■廃棄物処理法違反の罰則


廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制し、適正に処理するために、さまざまなルールを定めています。これらのルールを違反すると、罰則が科せられます。

廃棄物処理法違反は、個人や法人に大きな損害をもたらす可能性があります。マンション・ビル管理者は、廃棄物処理法のルールを遵守し、トラブルを回避することが重要です。


・個人の罰則

個人が廃棄物処理法違反をした場合、以下の罰則が科せられます。

・5年以下の懲役または100万円以下の罰金
・懲役刑は、刑事施設に収容される刑罰です。懲役刑の刑期は、1年以上20年以下の範囲で定められます。
・罰金刑は、金銭を納付しなければならない刑罰です。罰金の金額は、1万円以上1億円以下の範囲で定められます。


・法人の罰則

法人が廃棄物処理法違反をした場合、以下の罰則が科せられます。


1億円以下の罰金

法人の罰金刑は、個人の罰金刑と異なり、金額の上限が定められていません。


損害賠償の責任

廃棄物処理法違反によって他人に損害を与えた場合、損害賠償の責任を負うことがあります。

損害賠償とは、他人に損害を与えた場合に、その損害を金銭で賠償する責任です。

損害賠償の額は、損害の発生した状況や程度に応じて、裁判所が決定します。


罰則の対象となる行為は以下通りです

廃棄物処理法の定める許可や届出をせずに、廃棄物を処理する

廃棄物を適正に処理しない

廃棄物を不法に投棄する


罰則を回避するための注意点

廃棄物処理法違反の罰則を回避するためには、以下の点に注意する必要があります。

廃棄物処理法のルールを理解する

ルールを遵守して廃棄物を処理する

適切な処理業者に委託する


■まとめ

マンション・ビル管理者は、住民や利用者から預かった廃棄物を適正に処理する責任があります。廃棄物処理法違反は、個人や法人に大きな損害をもたらす可能性があります。そのため、マンション・ビル管理者は、廃棄物処理法のルールを遵守し、トラブルを回避することが重要です。




マンション・ビル管理者は、廃棄物処理法のルールを遵守し、トラブルを回避し、住民や利用者から信頼される管理を行っていきましょう。